工場の検査工程、大学や研究所等には品質検査や実験結果のデータを得るために精密な設備機器が多数設置されています。万一、罹災エリアに設置されていた設備機器が幸運にも物理的被害(燃焼や溶融等)を免れた場合、錆による二次被害を抑制するためにどう保全すべきでしょうか。
火災現場は多様で一概には表せませんが、建材や電気配線等が燃焼すると煤や塩化物イオンが発生します。また消火活動に伴う消火剤や消火放水により設備機器が汚染している可能性が高く、時間の経過とともに錆による二次被害が拡大するリスクがあります。
数か月前、実際に弊社が火災後の調査を行った実際のケースでは数点で計1億円に上る設備機器が煤と消火水で汚染被害を受けたことから、錆の進行を抑制する緊急安定化をご提案しました。しかしながら、特殊な検査機器のためメーカーの調査を優先したいとお客様からご要望があり緊急安定化を見送りました。約1月後、メーカーの技術者が調査に訪れた際には機器内部に錆が発生し通電すら不可能な状態に陥ってしまい高額な検査機器が修復困難になりました。
本事案は災害復旧会社である弊社にも反省すべき点があり、機器の罹災からメーカー調査、修復着手までの想定時間軸をお客様に確認し、メーカー優先の考えのもとで一旦は見送りとなった緊急安定化を再提案し、メーカー調査まで検査機器を保全すべきであったという点です。
火災が鎮火しても被災エリアでは錆による二次被害が静かに進行します。機器設備が被災した場合にはすぐさま緊急安定化をお考えください。
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