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消火剤汚染が
引き起こす
二次被害

(2025年4月号)

2024年夏、日本国内某所に所在する機械工場で火災が発生しました。工場が稼働している日中に発生したため、従業員が直ぐに火災に気づき工場に備え付けの消火器を使って初期消火活動を実施。消防車の到着を待たずに火災発生から数分間で消火することができました。被害状況を確認したところ、建物は火元周辺の壁面に熱損傷と煤汚染、鉄骨柱に煤汚染が確認されました。また、製造設備は火元周辺を中心に煤(すす)汚染や塩化物イオン汚染が確認されましたが、火災の規模からすれば“ボヤ”と言える程度の小規模な火災でした。

しかし、この火災の被害で最も深刻だったのは消火に使った消火器(その数14本)による建物や機械設備への粉末消火剤汚染でした。火災による熱損傷や煤汚染による直接的な被害範囲の約10倍もの広範囲にわたり粉末消火剤が飛散し、建物や機械設備にピンク色の粉末消火剤が付着していました。

少し専門的になりますが、粉末消火剤には、通常、リン酸アンモニウム:(NH4)3PO4や硫酸アンモニウム:(NH4)2SO4が含まれています。これらの化学物質は、①吸湿性があり腐食の原因となる水分を引き寄せます。また、②腐食成分が含まれていますので腐食を誘発します※。さらに、③粉末消火剤は細かく硬度が高いのでベアリングやその他の可動部品の摩耗の原因になります。粉末消火剤による汚染を放置しておくと、環境によっては腐食(金属類のさび)が進行したり、機械トラブルを引き起こしたりする可能性がありますので、二次被害防止の観点から適切な処置が不可欠です。

しかし、厄介なことに建物や機械設備に付着した粉末消火剤は一般的な清掃では完全に除去することが困難で、特殊な化学薬剤や修復技術を使った除去が必要です。

例え“ボヤ”であっても粉末消火剤、煤や塩化ビニール等の燃焼で発生する塩化物イオンによる汚染は侮れません。万一の罹災の際には、是非、災害復旧の専門会社であるベルフォアまでご連絡ください。

※ 粉末消火剤には吸湿性や腐食に考慮した製品もありま。

コラム:
消火器のABC

日本で90%のシェアがあると言われるABC粉末系消火器。この「ABC」は火災の分類を示しています。

  • A火災 (普通火災): 紙、木材、布等 が燃焼する火災
  • B火災 (油火災): ガソリン、灯油、油脂、アルコール等が燃焼する火災
  • C火災 (電気火災): 電気機器、電気設備機器等による火災

このABC粉末消火器の薬剤はピンクにするよう消防法で定められており、着色されてこの色になっています。このほかにも効果や成分が違う白色・淡緑(淡青)色、紫色、灰色・淡青色などの薬剤もあります。

注:弊社サービスは早期復旧を目的としたものです。
保険での補償は保険会社の個別の判断となります。

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