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マンションや工場火災時に発生する煙のリスクと早期復旧の重要性

火災発生時に最も怖いのは「火」だと思われるのではないでしょうか。もちろん、「火」は非常に危険ではありますが、同様に「煙」も非常に危険です。火は消火されてしまえば基本的には問題ありません。しかし、煙は消火後にも危険な場合があり、十分注意しないと人体に大きな健康被害をもたらします。そこで今回は、マンションや工場、倉庫などで火災が起きた際に発生する煙について、その危険性や復旧対策についてお伝えします。

火災時に発生する煙の特性

火災時に発生する煙には大きく2つの特性があります。

  1. 多くの有毒ガスを含んでいる
    火災による煙には一般的に「シアン化水素」「亜硫酸ガス」といった有毒ガスが含まれています。また、工場や倉庫などで危険性の高い化学薬品や金属が火災被害に遭えば、さらに有毒なガスが発生するリスクもあり得るでしょう。
     
  2. 速度が速く温度も高い
    これは火災時に限った煙の特徴ではありませんが、通常、建物の中に煙が充満するケースはほとんどないため、知らない方も多いかもしれません。煙は横に広がる速度はそれほど速くはありません。しかし、階段のような垂直方向に上昇するときは1秒間で3~5mとかなり速度が上がります。また、高い位置にある煙は非常に高温になるため、マンションで上の階にいればいるほど、煙の被害に遭うリスクは高くなると言えるでしょう。

煙害を受けずに避難するための方法

火災時に発生する煙は有毒ガスを含んでいるのに加え、視界を遮るうえに、薄い濃度であっても目やのどに痛みを感じさせるケースが少なくありません。そこで、煙害を受けずに避難するための方法を紹介します。

  • 姿勢を低くする
    煙は一旦、天井へと向かっていき、天井に充満したあとに下に向かって降りてきます。そのため、火災発生直後であれば床に近い場所は視界もそれほど悪くなく、空気も残っているので、できるだけ姿勢を低くして避難するのが基本です。また、まだ煙が少ない状態で出口までの距離が短かければ、息を止めて一気に走り抜けるのもよいでしょう。

    すでに煙が天井から床に向かって降りてくる状況になっていると、視界もかなり悪くなるため、床や壁に手を当て、非常灯や誘導灯を目指して避難します。
     
  • タオルやハンカチで口と鼻を覆う
    低い姿勢を保っていたとしても、通常時に比べれば酸素濃度も薄く、有毒ガスを吸ってしまう恐れもあります。そこで、タオルやハンカチで口と鼻を覆った状態で避難しましょう。可能であれば水にぬらしておくと、体内に有害ガスが入るリスクを最小限に抑えられます。また、ナイロン袋や透明なビニール袋に空気を入れ、かぶって避難するのも有毒ガス被害を避けるうえで効果的です。

火災時に煙が残す爪痕とは?

火災時、「火」以上に煙が危険であるとしましたが、その理由は消火後にもさまざまな危険が残るからです。そのなかでもすすは、放置してしまうと何年も残る被害になる場合があります。

火災によって建物が燃える際、木材だけではなく、合板や家具、金属などさまざまなものが一気に燃えるため、酸素の供給が追い付かず不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が発生します。その際に煙と一緒に出るのがすすです。これが建物内の天井や壁、床などあらゆる場所に付着し、火災現場はもちろん、風によって運ばれ、近隣住居にまで被害を及ぼす可能性もあります。

すすは燃えたものによって性質が異なりますが、油を含んだ場合はタール状になり、簡単には取り除けません。そしてすすと水分が混ざって発生する塩化物イオンは、さまざまな設備の腐食原因となります。また、有害物質を含んだすすは、人体に大きな影響を与えてしまう可能性もあり非常に危険です。

さらにすすはにおいが強く、放置すると2~3年はそのままにおい続ける場合もあります。このにおいによる健康被害も火災時に残る爪痕と言えるでしょう。

煙以外にもある火災後に残る危険

火災時の煙がさまざまな有毒ガスを発生させると説明しましたが、火災は煙以外にも有毒物質を発生させたり、建物に含まれる有害物質を表出させたりします。そのなかでも危険度が高いものが次の2つです。

  • ダイオキシンによる健康被害
    ダイオキシンは化学的化合物の一種で毒性が強く、免疫システムやホルモン障害をもたらすうえ、発がん性もあるといわれています。ただし、ダイオキシンはどこにでも存在するため、量によっては必ずしも人体に大きな影響があるわけではありません。しかし、火災が起きると通常よりも多くダイオキシンが発生する場合もあり、人体に危険が及ぶリスクも考えられます。

    また、ダイオキシンは火災が鎮火したあとにも発生する場合があるため、迅速に復旧作業を行わないと長期間にわたって人体に影響を及ぼす可能性がある点でも、十分な注意が必要です。
     
  • アスベストによる健康被害
    ダイオキシンと並んで危険な有害物質がアスベスト。これは別名「石綿(いしわた)」と呼ばれる繊維状けい酸塩鉱物です。以前は耐熱性・防火性・保湿性・防音性などに優れているうえ、加工のしやすさもあり、多くの建築物で使われていました。

    しかし、アスベストの繊維を吸入すると肺線維症や悪性中皮腫の原因となり、最悪の場合は肺がんを引き起こしてしまうリスクがあると判明。2006年9月より、アスベストを含有するものの製造・使用が全面禁止となりました。逆に言えば、2006年9月以前に建てられたマンションや工場、倉庫などはアスベストを含有する建材が使用されている可能性があるのです。

    アスベストは建物が損傷していなければ飛散するリスクもそれほどありませんが、マンションの大規模修繕のような工事で、壁の修繕や外壁塗装の塗り直しを行う際には確実に飛散します。そして当然、火災が起きればアスベストが飛散してしまうでしょう。

    アスベストが含有されている危険性が高いのは2006年9月以前に建てられたもののなかでも、「3階建て以上の鉄骨構造の柱や梁」「ビルのボイラー室の天井や壁」「床面積合計200平方メートル以上の鉄骨建造物の柱や梁」です。つまり、建築してから15年以上の高層マンションや大規模マンションで火災が起きれば、アスベスト飛散による健康被害のリスクはかなり高いと見てよいでしょう。

煙害から早期復旧を実現する方法

火災時の煙やすす、そして有害物質による被害は、復旧作業が遅れれば新たに発生する可能性もある点において、火災自体の被害よりも大きくなる可能性があります。重要なポイントはできるだけ早期に復旧を行うことです。

しかし、火災後の設備や建物は有毒ガスを含んでいたり、そのものが有害物質であったりするため、素人が手を出せるものではありません。そこでおすすめしたいのが災害復旧専門会社への依頼です。

例えば、工場や倉庫の場合、そこで使用する設備や機器がすすによって使えなくなってしまえば、機械設備の汚染除去および復旧には多大なコストがかかってしまうでしょう。また、マンションの場合、火災が発生すると廊下、階段、エレベーターなどの共用部分に、火災で発生するさまざまな火災生成物がすすとともに広範囲に広がります。その際も迅速にすすの清掃を行わないとコストがかかるだけではなく、健康被害をもたらすリスクも発生してしまいます。

復旧専門会社であれば、健康被害をもたらす汚染除去と設備や機器の復旧もあわせて行います。

→ 企業や工場の復旧対策については、こちらの記事もご参照ください。

火災被害の復旧は煙やすすなどの被害からの復旧とあわせて行うことが重要

火災というと火による被害ばかりを考えがちですが、実は煙やすすによる被害の方が大きいケースも少なくありません。しかも適切に復旧作業を行わないと、住居として再建することが難しいのはもちろん、健康被害も増加するリスクがあるため、とにかく適切かつ迅速な復旧作業が重要です。

特に一般の住居に比べマンションや工場、倉庫などは建物自体が大きいため、より迅速に復旧作業を進めないと周辺住居にまで被害が及ぶ可能性もあります。ベルフォアジャパンでは火災が起きたあとの煙やすす、有害物質などの健康被害をもたらす汚染除去を、短期間で実現するサービスを提供しています。万が一の際にはすぐにご相談ください。

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