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BCPは「代替戦略」だけで十分か?

企業の事業継続計画(BCP)は本当に機能するのか。とりわけ、「代替戦略だけで事業は継続できるのか」という問いは、今あらためて見直す必要がある。

(写真はイメージです)

内閣府では隔年で事業継続計画(BCP)の実態調査(注)を実施している。令和7年度調査によると、BCP策定済み企業の割合は大企業で75.8%、中堅企業で54.8%となっており、BCPそのものは着実に普及していることが分かる。

対象リスクとしては、地震(97.2%)、感染症(59.2%)、洪水(49.4%)、火災・爆発(44.3%)などが挙げられている。一方で、これらは社会的背景に大きく左右されるものであり、今日の世界情勢を踏まえるとテロ・紛争、サイバー攻撃といったリスクを対象としたBCPの重要性が今後さらに高まると考えられる。

また、本調査では事業継続のための具体的な施策として「代替戦略」についても触れられている。代替製造先の確保や中枢機能の代替拠点確保など、何らかの代替戦略を準備している企業は全体の24.3%にとどまっている。

これは、代替戦略の重要性が認識されつつも、その実現にはコストや運用面でのハードルがあることを示唆している。

さらに重要なのは、事業継続の手段は代替戦略だけではないという点である。工場やロジスティックセンター、ホテル、病院、学校、オフィスなどが被災した場合、「早期復旧戦略」というもう一つの選択肢が存在する。

災害復旧専門会社であるベルフォアジャパンの経験では、被害が甚大で建物の全面建替えや長期間の復旧が避けられない場合には代替戦略の発動が不可欠である。一方、建物が部分的な損傷に留まるケースや、機械設備の多くが熱損傷を受けていないケースでは、早期復旧戦略の方が合理的である場合も多い。

例えば以下のような対応が可能である。

【早期復旧戦略の事例(火災)】

<建物>

・汚染エリアと非汚染エリアをゾーニングし、汚染エリアは復旧、非汚染エリアは継続稼働

・被害調査により使用可能な部材は極力交換せず汚染除去で復旧

・工場などで機械設備に損傷が少なく建物被害のみの場合は夜間・休日を活用して建物の復旧作業を実施

<機械設備>

・熱損傷がなく煤や汚染水などによる汚染被害のみの場合、新品交換ではなく汚染除去により復旧

緊急安定化処置

<共通>

・被災後速やかに対応できるよう、BCPに災害復旧専門会社(ベルフォアジャパン)の連絡先を明記

・定期的なBCP訓練の実施

  

なお、実際の復旧現場では、代替戦略と早期復旧戦略を組み合わせる「ハイブリッド戦略」が有効となるケースも少なくない。

内閣府の調査において「早期復旧戦略」に関する明確な記載が見られないことは、日本においてこの分野の認知が未だ十分でないことを示している。

しかしながら、実際の災害現場では“代替か早期復旧か”という二択ではなく、供給責任や復旧時間を睨みながら「どこまでを交換し、どこから復旧(修理)するか」という判断が極めて重要となる。

BCPの実効性を高めるためには、代替戦略に加え、早期復旧戦略という選択肢をあらかじめ組み込んでおくことが不可欠である。

(注)出典:「令和7年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」(内閣府:政策統括官(防災担当)付 防災計画担当参事官室)

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