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水害で気づきにくい被害のひとつ、「臭い」の原因と除去するための方法

工場やオフィスでの水害というと崖崩れによる建物の倒壊や浸水による書類やデータの消失などが思い浮かぶのではないでしょうか? しかし、実はそれに加えて大きな被害があります。それは、「臭い」です。浸水したとしても水が引けば取りあえずは落ち着くと思いがちですが、そのままではかなり長期間にわたって臭いが残り、その中で業務を行わなければならなくなります。そこで今回は、水害後でも臭いが残ってしまう原因やデメリット、臭いを除去する方法についてまとめました。

水害後に臭いが残ってしまう原因とは?

工場やオフィス が浸水してしまった場合、まずは重要な書類やデータを安全な場所に移動させ、社員の安全を確保したうえで、復旧作業に入ります。この際、最初にやるべきは排水です。とにかく工場やオフィス 内に入ってしまった水を外に出すことを最優先で行います。

次にやる作業は乾燥です。水がなくなっても湿った状態は簡単にはなくなりません。カビが繁殖する要因になるうえ、床や床下の木材が腐ってしまう場合もあるため、早急に乾かします。

過去に浸水の経験がない場合、床が乾燥すれば復旧作業は終了と思われるかもしれません。しかし、これだけで浸水の復旧は終わりません。水害の多くは川の氾濫によって起こるため、家屋に入ってくる水は雨水だけではなく、泥や下水の水も含まれます。川の氾濫により道路が冠水し、マンホールから下水があふれ出してしまうことが要因で、排水・乾燥しただけでは消えない悪臭が残ってしまうのです。そのため、消毒作業に加えて悪臭除去も行わなくてはなりません。

工場やオフィス 内に臭いが残ってしまうことのデメリット

浸水後に排水・乾燥したあとにも工場やオフィス 内に下水の臭いが残ってしまうと、業務を行ううえでさまざまなデメリットが生まれます。具体的には次のとおりです。

  • 業務に集中できなくなる
    嗅覚と集中力には関連性があるといわれています。それは嗅覚が脳に直接的に作用するからであり、集中力を高める臭いがある半面、集中力をそいでしまう臭いも存在するのです。

    2016年12月、P&Gが杏林大学名誉教授である古賀良彦氏と共同で「家庭におけるニオイ が子どもの集中力に及ぼす影響」について検証しました。この結果によると、汗や体臭といった臭いがある場合とない場合では、ある場合の方で集中力の指標となる脳波「P300」が10%以上低下。さらに、「油臭/汗・体臭/カビ臭」のある部屋とない部屋で行った集中力 テストの結果も、臭いのない部屋の方が点数が高くなっています。

    これは小学生を対象に行った検証ですが、臭いと集中力の関連は大人でも同様と考えられます。そのため、工場やオフィス の中に悪臭が残ったままでは業務に対する集中力もそがれ、生産性を下げてしまうリスクもあるでしょう。
     
  • 社員の健康被害
    香水や芳香剤、洗剤、柔軟剤など、一般的に良い香りと言われているものが頭痛や吐き気を誘発する状態を「香害」といいますが、悪臭でも同様の症状を起こすケースがあります。特に浸水の影響で常に悪臭が漂っている状態では、頭痛、吐き気といった健康被害のリスクも高まるでしょう。
     
  • 食堂や休憩室で飲食ができなくなる
    悪臭が残っている場所では集中して仕事ができないだけではなく、そこが食堂や休憩室だった場合には飲食ができなくなるのも大きなデメリットです。2010年に行われた、「飲食業の悪臭苦情ランキング(地方公共団体アンケート調査結果)」を見ると、1位は「焼肉・ホルモン店」の肉を焼くときの臭いや油煙 。しかし、2位は「惣菜・弁当屋(スーパー含む)」の製造工程から出る排水の臭いです。周囲から苦情が出るほどの臭いがある場所では、当然食事もできません。
     
  • 周囲からの苦情
    前項でも挙げたように悪臭が残ったままだと、周囲から苦情が寄せられるリスクも発生します。苦情が来てもそのままにしていると、場合によっては管理者から退去命令が出ることもあり得るでしょう。そうなると、移転により多額の費用がかかってしまう可能性があるので大きなデメリットです。
     

工場やオフィス 内に残った臭いを除去するための方法

浸水の臭いが残ったままの状態では、業務に支障が出るのはもちろん、最悪の場合、社員に健康被害をもたらしてしまう場合もあり得ます。そこで、浸水後にオフィス内に残った臭いを除去するには復旧作業として何をすればよいのか、その方法について説明します。

  • 泥や汚水の除去と洗浄
    工場やオフィス 内に残った悪臭を除去するうえでまず手をつけるべきは、悪臭のもととなる泥や汚水の除去、洗浄です。泥はヘドロ状になっている可能性も高いため、吸引力の高い機材が必要となります。また、洗浄も高圧洗浄機が必須でしょう。
     
  • 役所に相談のうえ、消石灰やクレゾール石けん液で消毒する
    泥や汚水の除去と洗浄がすんだら、次に必要なのは消毒です。泥や汚水は雑菌が繁殖しやすく、場合によっては感染症を引き起こすリスクもあるでしょう。ただし、消毒に関しては、工場やオフィスのある場所の水質や建物の構造によって対応が異なる場合もあります。必要であれば、工場やオフィスのある市区町村の役所に相談のうえ、消毒をしてください。
     
  • 消臭剤をまく
    洗浄、消毒をしっかりと行っても、悪臭はなかなか消え去りません。そこで次に行うのは消臭作業です。ホームセンターや専門店などで販売している消臭剤を使うのが一般的ですが、床下や屋外では使えても建物内では使えないタイプもあるため、購入時には必ず確認をしましょう。
     
  • 専門の業者に依頼する
    ここまで、工場やオフィスに残る悪臭対策について説明してきました。被害の程度にもよりますが、軽微なものであれば、自分たちだけで対応できるケースも少なくありません。しかし状況によっては、到底対応できないケースも考えられます。

    その場合は速やかに専門業者へ依頼しましょう。悪臭が残った工場やオフィスで働くデメリットを考えれば、コストをかけてでも専門業者に依頼した方が多くのメリットを得られます。
     

オゾン脱臭とは?

浸水により残ってしまった悪臭を除去する際、効果がある消臭方法のひとつがオゾン脱臭です。工場やオフィス内に放出したオゾンが室内の隅々に行き渡り、雑菌や悪臭に触れ融合し酸化することで、雑菌や悪臭のもとが分解され臭いが消えるという仕組みです。その後オゾンは酸素に戻ります。

オゾン脱臭は強い臭いも除去できるので、浸水後の悪臭にも高い効果が期待できますが、人体に影響が出る可能性もあるため、実施については必ず専門家に任せるようにしましょう。
 

まとめ 浸水後の臭い除去は事前準備の徹底をしたうえで、専門業者への依頼がポイント

浸水後の臭い対策には、そもそも浸水が起きないよういかに事前準備をしておくかが重要な鍵となります。土のうや防水シート・防水パネルを準備しておき、台風やゲリラ豪雨が近づいてきた際は、正しい情報を収集し、迅速に浸水を防ぐ作業を行うことが、浸水はもちろん、その後の臭い対策にもつながるでしょう。

ただし、企業規模にもよりますが、一般の家屋に比べて床面積が広いオフィスや工場で 、浸水からの復旧を行うのは決して簡単なものではありません。特に、飲食店やサービス業の店舗などお客様が来店される場所では、臭いの除去に特に気を使う必要があります。そこ で、おすすめなのは専門業者への依頼です。普段から連絡先を確認しておき、いざというときにはすぐに連絡が取れるようにしておくことが、臭い対策として最も重要なポイントだと言えるでしょう。

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